死刑執行に関する会長声明

死刑執行に関する会長声明
 2013(平成25)年4月26日、東京拘置所において2名の死刑確定者に対して死刑が執行された。
 当会は、死刑制度の存廃を含む抜本的な検討及び見直しを行うまでの一定期間、死刑の執行を停止するよう、再三政府に対し要請してきた。前回の死刑執行の際にも、本年2月25日付で死刑執行に抗議し、死刑に関する情報を開示した上で、国民的議論を行い、死刑制度の見直しを検討するよう求める「死刑執行に関する会長声明」を発したところである。
 にもかかわらず、前回執行から約2か月という短い間に連続して死刑の執行がなされたことに対し、深い憂慮の念を示すとともに、強く抗議する。
 国際社会においては、死刑廃止が潮流となっている。日本政府は、国連関係機関からも、死刑の執行を停止し、死刑制度の廃止に向けた措置をとるよう繰り返し勧告を受けている。昨年12月20日には国連総会において、全ての死刑存置国に対し、死刑廃止を視野に死刑執行を停止するよう求める決議が過去最高の111か国の賛成多数で採択されている。
 日本弁護士連合会は、2011(平成23)年10月7日に「罪を犯した人の社会復帰のための施策の確立を求め、死刑廃止についての全社会的議論を呼びかける宣言」を決議し、その中で「直ちに死刑の廃止について全社会的な議論を開始し、その議論の間、死刑の執行を停止すること」などを求めており、本年2月12日には谷垣禎一法務大臣に対して、上記事項を求める要請書を提出している。
 当会においても、本年2月9日に「死刑を考える日」を開催し、日本における死刑制度の問題点について広く考える機会を設けたところである。
 このように、当会及び日本弁護士連合会が求める死刑制度に関する十分な国民的議論とその前提となる死刑制度に関する情報公開が全くなされないまま、死刑の執行が続いていることは極めて遺憾である。
 当会は、改めて政府に対し、死刑の執行を停止し、わが国における死刑確定者の処遇、死刑執行対象者の決定手続と判断方法、死刑執行の具体的方法とその問題点等に関する情報を開示し、死刑存廃について国民の広範な議論を踏まえた上で、死刑制度の見直しを検討するよう、重ねて強く要請するものである。
 2013(平成25)年5月15日
岡山弁護士会
会長 近 藤 幸 夫

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