死刑執行に関する会長声明

死刑執行に関する会長声明

2014年(平成26年)6月26日、大阪拘置所において、1名の死刑確定者に対して死刑が執行された。
当会は、死刑制度の存廃を含む抜本的な検討及び見直しを行うまでの一定期間、死刑の執行を停止するよう、再三政府に対し要請してきた。前回の死刑執行の際にも、昨年12月13日付で死刑執行に抗議し、死刑に関する情報を開示した上で、国民的議論を行い、死刑制度の見直しを検討するよう求める「死刑執行に関する会長声明」を発したところである。
にもかかわらず、死刑に関する情報公開や国民的議論が行われないまま、前回の執行から約6か月後に死刑の執行がなされたことに対し、深い憂慮の念を示すとともに、強く抗議する。
国際社会においては、死刑廃止が趨勢となっている。最近では、死刑廃止又は事実上停止している国が140か国を上回っているのに対し、死刑存置国は58か国に過ぎない。その中で、2013年(平成25年)に実際に死刑を執行した国は我が国を含め22か国しかない。我が国は、国連関係機関からも、死刑の執行を停止し、死刑制度の廃止に向けた措置をとるよう繰り返し勧告を受けており、2013年(平成25年)5月31日に発表された国連拷問禁止委員会の総括所見においても、死刑制度を廃止する可能性についても考慮するよう勧告を受けている。
日本弁護士連合会は、2013年(平成25年)2月12日、谷垣法務大臣に対し、「死刑制度の廃止について全社会的議論を開始し、死刑の執行を停止するとともに、死刑えん罪事件を未然に防ぐ措置を緊急に講じることを求める要請書」を提出し、死刑及びその運用についての情報公開及び全社会的議論が尽くされるまで全ての死刑の執行を停止することなどを求めた。
冤罪による誤った死刑執行は人権侵害の最たるものであり、絶対にあってはならない。静岡地方裁判所は、2014年(平成26年)3月27日、死刑判決が確定していた袴田巌氏の第2次再審請求事件につき、再審開始、死刑及び拘置の執行停止を決定したが、この決定は、この要請書が指摘した、絶対にあってはならない冤罪による誤った死刑執行がなされるおそれが現実にあることを示すものである。
当会においても昨年2月に「死刑を考える日」を開催し、死刑制度についての議論を深める企画を行っているところである。
しかしながら、現実には、国際社会の潮流に反し、また、当会及び日本弁護士連合会が求める死刑制度に関する十分な国民的議論とその前提となる死刑制度に関する情報公開が全くなされないまま、死刑の執行が続いており極めて遺憾である。
今回の執行についても、執行対象者の選定基準や死刑判決確定から死刑執行までの経過については法務省より何ら説明もなく、死刑執行に至る過程についての不透明さが改めて浮き彫りとなった。
そこで、当会は、改めて政府に対し、死刑の執行を停止し、我が国における死刑確定者の処遇、死刑執行対象者の決定手続と判断方法、死刑執行の具体的方法とその問題点等に関する情報を開示し、死刑存廃について国民の広範な議論を踏まえた上で、死刑制度の見直しを検討するよう、重ねて強く要請するものである。

2014(平成26)年7月9日

岡山弁護士会
 会長 佐々木 浩 史

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