よくある質問│医療仲裁センター岡山に関するQ&A

裁判との一番大きな違いは何ですか。
裁判では,主に,医療機関側に損害を賠償する義務があるかどうか,ある場合に,その金額はどの位になるかが審理され,双方がこれらの点をめぐって主張を尽くします。医療機関側に損害賠償義務があることは,患者側が証拠によって証明しなければなりません。
本センターは,話し合いによるトラブル解決の場であり,どのようなテーマで話し合いをするかは自由です。損害賠償を求めることもできますが,発生した事象や経過の説明などを求めて申し立てることも可能です。医療機関側が患者側に対して説明を行う場としてもご利用いただけます。
裁判に比べて不利な点はないのですか。
裁判では,訴えを取り下げない限り,必ず何らかの結論が出ます。しかし,本センターでの解決は,双方が話し合いのテーブルにつくことが前提です。したがって,一方が出席を拒絶すれば期日を開くことができません。 また,合意に至らず,結論が出ないまま終わる可能性もあります。仲裁人は,できる限り話し合いができるようお手伝いをいたしますが,裁判のように必ず結論が出るとは限りません。
結局,裁判をした方が確実に解決できるのではありませんか。
裁判で結論を出すのは原則として裁判所です。そのため,裁判では,相手方ではなく,裁判官を説得するために主張を尽くします。 これに対して,本センターの手続きで結論を出すのは当事者です。解決に至らない可能性もありますが,結論を裁判官などの第三者に委ねるのではなく,相手方との直接対話によって導くことができた場合,双方にとって,より満足度の高い解決となるのではないでしょうか。
どのような人が仲裁人になるのですか。
原則として,経験5年以上の弁護士が仲裁人となります。仲裁人は,当事者の対話を促進するためのトレーニングや,医学知識に関する研修を受けています。
医学上の専門的知見を求める必要があると判断されるケースでは,医師の仲裁人も手続きに加わります。
医師仲裁人と医療専門員の役割の違いは何ですか。
医師の仲裁人は,医学上の専門的知見を求める必要があるケースにおいて,弁護士仲裁人と協同で,医学上問題となる点を整理します。その際,自身の見解や判断を述べることは原則としてありません。
これに対し,医療専門員の役割は,弁護士・医師の仲裁人によって整理された医学上の問題点について判断を示すことです。
医師仲裁人,医療専門員は,いずれも中立の立場の医師の中から選任されます。
仲裁人に判断してもらうことはできないのですか。
双方から求められた場合には,仲裁人が意見を述べ,解決案を提示することもあります。
また,双方が仲裁人の判断に従う旨の仲裁合意書に署名・押印した場合には,仲裁人が一定の期日のうちに判断を下します(「仲裁判断」といいます)。この判断は,裁判所の確定判決と同じ効力をもち,双方当事者を拘束します。
弁護士に依頼しなくても申立をすることができますか。
申立は本人だけでもすることができまが,希望すれば患者側代理人として登録した弁護士の名簿をお渡しします(ただし,個々の弁護士を紹介するものではありません)。
医師も必ず期日に出席しなければならないのですか。
出席を強制することはありません。ただ,直接説明をしていただくことによって円満解決が期待できる場合があります。出席いただくことが好ましい場合,仲裁人が出席をお願いすることがあると思われます。
申立から解決までどのくらい時間がかかりますか。
事案の内容によって異なりますので,明確に回答することはできませんが,医学上の問題点がなく,弁護士仲裁人だけが選任される場合には,2〜3回の期日,3か月以内での解決も可能です。 医学上の問題点があり,医師仲裁人を選任した上で,医療専門員の判断を求める場合には,数ヶ月程度かかる場合が多いと思われます。 いずれにしても,地方裁判所及び簡易裁判所での医事関係訴訟の平均審理期間(平成20年既済事件平均24.0ヶ月,裁判所ホームページより)よりも短期間での解決が可能です。