(2024.05.01)憲法週間 ~弁護士のコラム~

 毎年5月3日の憲法記念日を含む5月1日から7日までの1週間を「憲法週間」とし、法務省の各機関では、裁判所や弁護士とも協力の上、憲法の精神や司法の機能を国民に理解してもらうための取り組みを行っています。
 当会では会員の桐岡勇弁護士にコラムを執筆いただきましたので、コラムをご紹介いたします。

 岡山弁護士会所属弁護士の桐岡と申します。今回は憲法週間の機会に,弁護士と憲法の関わりについてご紹介させていただこうと思います。

 弁護士は「基本的人権の擁護と社会正義の実現」をその使命として掲げ,この使命を実現していくために日々様々な業務に関わっています。ここでいう「基本的人権」というのは憲法の条文に記載されている基本的人権一つ一つと同じものであり,また「社会正義」というものも憲法の条文に沿った正義のことになります。このように弁護士の業務というのはまさしく憲法の理念を擁護,実現するということで,具体的には,裁判所で民事事件の代理人・刑事事件の弁護人として依頼者の人権を守るための活動をしたり,死刑制度の存廃,ジェンダーレス,安全保障などの人権に関する諸問題に関する国民的議論を促すための活動を行っています。
 例えば,犯罪を起こしたとの疑いで人が刑事裁判を受けるとき,弁護士が刑事弁護人としてその人のサポートに回り,違法な捜査がされていないか,不当に重い刑罰が科されていないかを見極め,仮にそのような事態が発生したときはそれを是正するために検察庁や裁判所に異議を申し立て,不相当な人権の侵害が生じないようにしています。
 また,憲法の基本的人権を害するような法律や制度を発見した際には,そのような状況を改善するために声明を発表したり,国会議員との勉強会を行ったり,侵害された人権を回復するため実際に裁判を起こしたりすることを通じて,法律や制度の改正,廃止を目指しています。

 憲法には,国民の不断の努力によって基本的人権を保持しなければならないと書かれています。ぜひこの週間を機に憲法について更に詳しく知り,憲法の基本理念について理解を深めた上で,自発的に議論に参加し,基本的人権が実現される社会を私達と共に目指していただければと思います。

 

令和6年度憲法週間行事                
(共催)岡山地方裁判所、岡山家庭裁判所、岡山地方検察庁
岡山地方法務局、岡山弁護士会         

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