死刑執行に関する会長声明

 2017年(平成29年)12月19日、東京拘置所において2名の死刑確定者に対して、死刑が執行された。
今回死刑が執行された者のうち1名は、犯行当時19歳の少年であり、犯行当時少年であった者の死刑執行は、1997年(平成9年)に執行された永山則夫元死刑囚以来である。また、今回死刑が執行された者は、いずれも再審請求中であり、今回の死刑執行については、甚だ遺憾である。
国際社会においては、死刑廃止が趨勢となっている。最近では、死刑廃止又は事実上停止している国が141か国に上っているのに対し、死刑存置国は57か国に過ぎない。我が国は、国連関係機関からも、死刑の執行を停止し、死刑制度の廃止に向けた措置をとるよう繰り返し勧告を受けている。
日本弁護士連合会は、2015年(平成27年)12月9日には法務大臣に対し、「死刑制度の廃止について全社会的議論を開始し、死刑の執行を停止するとともに、死刑えん罪事件を未然に防ぐ措置を緊急に講じることを求める要請書」を提出し、死刑及びその運用についての情報公開及び全社会的議論が尽くされるまで全ての死刑の執行を停止することなどを求めた。
また、2016年(平成28年)10月7日に福井市で開催された第59回人権擁護大会で、「死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言」を採択し、日本において国連犯罪防止刑事司法会議が開催される2020年までに死刑制度の廃止を目指すべきであること、死刑を廃止するに際して死刑が科されてきたような凶悪犯罪に対する代替刑を検討すること等を国に対して求めた。
当会においても、死刑制度の存廃を含む抜本的な検討及び見直しを行うまでの一定期間、死刑の執行を停止するよう、再三政府に対し要請してきた。また、2017年(平成29年)12月2日にはシンポジウムを開催し、死刑制度についての議論を深める企画を行ったところである。
このような国際社会の潮流に反し、また、当会や日本弁護士連合会の要請等に反し死刑の執行が続いていることは極めて遺憾である。
そこで、当会は、今回の死刑執行に対し強く抗議するとともに、死刑の執行を停止し、2020年までに死刑制度の廃止を目指すべきことを要請するものである。

2018年(平成30年)1月17日

  岡山弁護士会
会 長 大 土   弘

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2018-01-17 | Posted in 意見表明・お知らせNo Comments »