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最低賃金の大幅引上げを求める会長声明
2017.12.06
最低賃金の大幅引上げを求める会長声明

1.
 中央最低賃金審議会は,2017(平成29)年7月27日,本年度の最低賃金の目安について答申を行った。本年度の目安が示した引き上げ額の全国加重平均は25円であった。各都道府県の地方最低賃金審査会は,この目安を参考にして,地域別の最低賃金額を各労働局長へ答申し,その答申を受けて労働局長が具体的金額を決定する。
 岡山労働局長は,岡山地方最低賃金審議会の答申を受け,同年8月22日,地域別最低賃金額を1時間あたり781円とする決定を行い,この決定は同年9月1日の官報に公示され,同年10月1日に発効された。
 しかしながら,以下に述べるとおり,労働者の生活の安定という観点からは引上げ後の最低賃金においてもなお十分とは言い難く,最低賃金の大幅な引上げは必須である。

2.
 最低賃金制度の目的は,賃金の低廉な労働者について,賃金の最低額を保障することにより,労働条件の改善を図り,もって,労働者の生活の安定,労働力の質的向上等を図ることにある(最低賃金法第1条)。
 しかし,1時間あたり781円という水準では,フルタイム(1日8時間,週40時間,年間52週)で働いても,月収は13万5373円(年収は162万4480円)に留まるものである。現時点の我が国の社会状況に鑑みた場合,同金額をもってしては,各種の給付の存在を考慮したとしてもなお,一人で生計を維持することは極めて困難なものと言わざるを得ない。ましてや子どもを生み育てていくことはおよそ不可能である。最低賃金制度は,上記のとおり,「労働者の生活の安定,労働力の質的向上」を目的としているが,上記のような金額では,労働者が経済的に安定した生活を送ることは困難である。また,このような労働者の生活の不安定は,労働者の労働能率の減退を招き,労働力の質的向上が図られるどころか,むしろ労働力の質的低下を促進させる。上記金額は,法の目的を達成するに足りる水準に至っているとは到底言うことはできない。

3.
 今日の日本では,正社員として働く労働者の人口は減少し,非正社員の割合が増加し続け,現在では役員を除く雇用者全体の約37パーセントに至っている。その内訳として,25歳から54歳の割合が約半数を占めるに至っている。その結果,主に自らの収入で家計を維持する非正社員の割合が増加し,最低賃金は,家計補助的な働き方をする労働者の問題ではなくなっている。最低賃金が上記のような金額に留まるのであれば,フルタイムで働いていても安定した生活を送ることができないワーキングプアの問題がより深刻化することは明らかである。ワーキングプアの問題は格差の拡大を加速させ,それと同時に国民の労働意欲を減退させるものである。このような格差の拡大,国民の労働意欲の低下は,ひいては国民経済の健全な発展を妨げるものであり,国民全体の利益の観点から解決を急がなくてはならない問題である。

4.
 本年度岡山労働局長が決定した1時間あたり781円という最低賃金の基準が著しく低い基準であるということは,先進諸外国の最低賃金との比較からも一目瞭然である。例えば,オーストラリアの最低賃金は18.29豪ドル(約1596円),フランスの最低賃金は9.76ユーロ(約1273円),ドイツの最低賃金は8.84ユーロ(約1153円)イギリスの最低賃金は7.5ポンド(25歳以上,約1067円)であり,日本円に換算するといずれも1000円を超えている(円換算は2017年9月上旬の為替レートで計算。)。

5.
 この点,政府は,2010(平成22)年6月18日に閣議決定された「新成長戦略」において,2020(平成32)年までに最低賃金を「全国最低800円,全国平均1000円」にするという目標を明記している。この政府の目標は,引き続き継続し必ず達成しなければならない。

6.
 以上から,岡山労働局長は,地域間の最低賃金格差を是正すべく,最低賃金を全国平均の水準に引き上げるべきである。そして,政府目標の全国平均1000円の数値を残された3年間で達成するためには,1年あたり76円以上の引上げが必要である。
 よって,当会は,労働者の生活の安定及び労働力の質的向上を図るため,岡山地方最低賃金審議会に対して,来年度の岡山県における地域別最低賃金額について76円以上の引上げを答申すること,及び岡山労働局長に対して,1時間あたりの地域別最低賃金額を昨年度より76円以上引上げ857円以上に決定することを求める。
 
 
2017(平成29)年12月6日
 
岡山弁護士会     
会長 大 土   弘
 
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