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「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案」に反対する会長声明
2014.04.22
「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案」に反対する会長声明
 
1 政府は,本年3月11日,「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案」(以下「改正案」という。) を閣議決定し,同日,国会に法案を提出した。政府は,今通常国会での成立を目指している。
   しかし,改正案は,労働者派遣法の根本原則である常用代替防止の考え方を実質的に放棄しており,企業が全ての業務について派遣労働者を永続的に利用できることになる。その結果,常用労働者から派遣労働者への代替が促されて,労働者全体の不安定雇用の増加や労働条件の劣悪化を招くこととなる可能性が高く,改正案は到底容認できるものではない。
2 労働者派遣法は,派遣先の常用労働者(正社員)との代替が生じないよう,派遣労働の利用を臨時的・一時的なものに限ることを原則としている。そこで,改正案は,全ての業務に共通する派遣労働者個人単位の期間制限(3年)と派遣先の事業所単位の期間制限(3年)を設けている。すなわち,派遣先の同一組織単位における同一の派遣労働者の継続的な受け入れは3年を上限とし,派遣先の同一の事業所における派遣労働者の継続的な受け入れは3年を上限としている。
  しかし,改正案は,以下の通り重大な問題点がある。
  第一に,改正案は,これまで認められていなかった派遣期間の定めのない無期雇用派遣を認めている。これによって派遣先は期間制限なく派遣労働者を利用することができることとなり,正社員との代替がより一層進むことになる。しかも,派遣先はいつでも派遣契約を解除して派遣を打ち切ることができるので,派遣労働者の不安定雇用化が一層深刻化する。
  第二に,改正案では,有期雇用派遣の場合,派遣先が同じ派遣労働者を同じ組織単位で使えるのは3年に限られ,かつ同一の事業所の単位においても派遣先が派遣労働者を受け入れることができるのは原則3年とされている。しかし,事業所が過半数労働組合または過半数代表者の意見聴取さえ行えば,引き続き3年間,その事業所は派遣労働者を受け入れることができ,その後も3年ごとに同様に意見聴取を行えば,派遣先はずっと派遣労働者を受け入れることが出来るようになる。すなわち,派遣先は意見聴取さえすれば派遣受け入れ期間を事実上無期限に延期できることになり,これでは何の歯止めにもならない。
3 そもそも,我が国においては,職業安定法が強制労働や中間搾取等の弊害の発生を排除するという趣旨に基づき労働者供給を事業として行うことを禁止していたところ,専門的な職業群が増加する社会的変化の中で,請負事業の形態をとって自己の雇用する労働者を他の企業に派遣する事業が増加したことから,使用者責任を明確化し労働者を保護するため,労働者派遣法が制定されたものである。その際も,「我が国における雇用慣行との調和に留意し,常用雇用の代替を促すこととならないよう十分に配慮する必要がある」と指摘されていた。
  にもかかわらず,改正案のもとでは,直接無期雇用である派遣先の常用労働者(正社員)が不安定な派遣労働者に置き換えられることになり,常用代替の防止の理念を実質的に放棄するものであるといわざるを得ない。
4 加えて,改正案は,期間制限の上限に達する派遣労働者に対する雇用安定措置として,派遣元事業主に対して,派遣労働者が引き続き就業することを希望する場合に,新たな就業機会(派遣先)の提供等の雇用の安定を図るための措置を講ずることを義務付けているものの,派遣元がこれらの措置を講じない場合にどのような私法上の効力が生じるのか明確ではなく,雇用安定措置としての実効性に疑問がある。
5 以上の通り,改正案は,常用代替防止の理念を実質的に放棄するものであり,雇用安定措置も不十分なものであるから,労働者全体の不安定雇用の増加及び労働条件の劣悪化をもたらすこととなる可能性が高い。よって,当会は,改正案に強く反対するとともに,派遣労働者の雇用安定を確保し,常用代替防止に立ち返った労働者派遣法改正を行うよう求めるものである。
 
2014年(平成26年)4月22日
  岡山弁護士会            
                        会長 佐々木 浩 史
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