(2012.08.08)死刑執行に関する会長声明

死刑執行に関する会長声明
 2012(平成24)年8月3日、東京拘置所において1名、大阪拘置所において1名の合計2名の死刑確定者に対して死刑が執行された。
 当会は、死刑制度の存廃を含む抜本的な検討及び見直しを行うまでの一定期間、死刑の執行を停止するよう、再三政府に対し要請してきた。本年3月29日に3名の死刑確定者の死刑執行がなされた際にも、4月2日付で死刑執行に抗議し、死刑に関する情報を開示した上で、国民的議論を行い、死刑制度の見直しを検討するよう求める「死刑執行に関する会長声明」を発したところである。
 にもかかわらず、約4か月という短い間に、再び死刑の執行がなされたことに対し、深い憂慮の念を示すとともに、強く抗議する。
 国際社会においては、死刑廃止が潮流となっている。日本政府は、国連関係機関からも、死刑の執行を停止し、死刑制度の廃止に向けた措置をとるよう繰り返し勧告を受けている。
 日本弁護士連合会は、2011(平成23)年10月7日に「罪を犯した人の社会復帰のための施策の確立を求め、死刑廃止についての全社会的議論を呼びかける宣言」を決議し、その中で「直ちに死刑の廃止について全社会的な議論を開始し、その議論の間、死刑の執行を停止すること」などを求め、さらには、本年6月18日、「死刑制度の廃止について全社会的議論を開始し、死刑の執行を停止するとともに、死刑えん罪事件を未然に防ぐ措置を直ちに講じることを求める要請書」を法務大臣に提出した。
 当会においても、2011(平成23)年5月28日に憲法記念県民集会「いま、「死刑」を考える」を開催し、約200名の参加を得た。参加者からは、政府に対し、死刑制度に関して、さらなる情報公開を求める意見が寄せられた。
 このように、当会及び日本弁護士連合会が求める死刑制度に関する情報の公開とそれに基づく十分な国民的議論が全くなされないまま、本年3月に引き続き、死刑の執行がなされたことは極めて遺憾である。
 当会は、改めて政府に対し、死刑の執行を停止し、わが国における死刑確定者の処遇、死刑執行対象者の決定手続と判断方法、死刑執行の具体的方法とその問題点等に関する情報を開示し、死刑存廃について国民の広範な議論を踏まえた上で、死刑制度の見直しを検討するよう、重ねて強く要請するものである。
 2012(平成24)年8月8日
                                               岡山弁護士会
                                                 会長 火 矢 悦 治

この記事の作成者