更新日 2009/02/05

 2009年1月29日、福岡拘置所において1名、名古屋拘置所において2名、東京拘置所において1名の合計4名の死刑確定者に対して死刑が執行された。

  当会は、死刑制度の存廃を含む抜本的な検討及び見直しを行うまでの一定期間、死刑の執行を停止するよう、再三政府に対し要請してきた。
  にもかかわらず、昨年の5回(15名)の死刑執行に続き、昨年10月23日の執行からわずか3か月という短期間での死刑執行が行われた。当会は、かような多数の死刑執行という事態に対し、深い憂慮の念を示すとともに、強く抗議する。

  国際社会においては、死刑廃止が潮流となっている。一昨年に続き、昨年の国連総会本会議においても、死刑執行の停止などを求める決議が圧倒的多数で採択された。
  さらに、昨年10月の国際人権(自由権)規約委員会による日本政府報告書に対する審査においても、わが国の死刑制度に対する批判的な意見が相次いだ。

  これらは、国際社会の共通の意思の表明に他ならず、今、わが国に求められているのは、上記勧告や決議案にどう応えるかも含めて、開かれた議論を行うことであり、死刑の執行をことさら急ぐことではない。今回の死刑執行は、わが国が加入した条約を尊重せず、国際社会の要請には一切耳を傾けないことを改めて宣言する行為に等しく、誠に遺憾である。
  そして、わが国においては、政府の極端な密行主義のもと、死刑に関する情報がほとんど明らかにされておらず、死刑制度に関する国民的議論を行う前提を欠く状態にある。

  法務省は、執行された死刑囚の氏名、執行日等を公表しているものの、いかなる手続、経緯で被執行者を選択したのかも判然としない。とりわけ、2009年5月21日から開始される裁判員制度においては、裁判員も、死刑を含む量刑判断に参加することになっており、死刑制度の運用と実態について国民が正確な事実を知ることが重要である。また、このような情報開示がなされた上で、死刑という刑罰が、国民の間で許容されているか否かについて、広く議論がなされることが望まれる。

  当会は、改めて政府に対し、国連機関による勧告を誠実に受け止めるよう求めるとともに、死刑の執行を停止し、わが国における確定死刑囚の処遇、死刑執行対象者の決定手続と判断方法、死刑執行の具体的方法とその問題点等に関する情報を開示し、死刑存廃について国民の広範な議論を踏まえた上で、死刑制度の見直しを検討するよう、重ねて強く要請するものである。

2009(平成21)年2月4日
岡山弁護士会
       会長 秋山 義信